フルコン パワーFC取り付け APEXi POWER FC
「Apexi POWER FC」
世間ではフルコンって呼ばれるもの。
フルコンピュータの略かな?
って知らないひとには意味不明な単語だな。
ここでいうコンピュータは、
車のエンジンの燃調や点火時期をコントロールするコンピュータのこと。
通称ECU(エンジンコントロールユニット)って言われる。
ほとんどの車にはついてて、負荷、回転数、水温などといった様々な情報から、
どれくらいガソリンを噴射して、どのタイミングで点火するかってのを常に行ってる重要な部品。
このセッティングは車メーカーが時間とお金をかけて決めてる。
ただ、どんな時に、どんな人が乗っても、長い間ちゃんと動くようにセッティングされてて、
安全マージンをかなりとってる。
精度よく作れる技術のある現代でもエンジンには個体差があって、
それぞれベストなセッティングは違う。
こういった、マージンを削ってパワーアップするセッティングにしたり、
そのエンジンにベストなセッティング(チューニング?)するのが、
コンピューターチューンかな。
で、その方法には大きく下記の4種類あるのかな。
・純正コンピュータROM書き換え
・社外コンピュータ
・サブコン
・フルコン
★純正コンピュータROM書き換え
これは、ECUの中にあるデータ(燃調や点火時期)を書換えてセッティングする方法。
ECUを開けてROMを取り出したり、半田付けする必要があったりと、ある程度技術がいる。
ROMの内容(どの番地にどんな情報が書かれてるか)も分かって無いと手が出せない。
基本的にチューニングショップにお願いする感じ。
その車に合わせてセッティングする(現車合わせ)。
セッティングする人の技術や思想次第で、パワーやフィーリングやエンジン寿命が変わるっぽい。
★セッティング済み社外コンピュータ
純正コンピュータのROMを書換えたコンピュータのこと。
ROM書き換えと似てるけど、
これは最初からセッティングされたデータが書き込まれたECUを売ってる。
これを買ってきて、ノーマルECUと取り替えるだけ。
純正の多目の安全マージン部分を削ってパワーアップするデータが書き込こまれてる。
1台1台に合わせたセッティングじゃないから、まぁノーマル+α程度だと思う。
その割に高い気がする。まぁ置き換えるだけでいいから安心感はあるけど。
ノーマルECUの下取りが必要なことが多い。
★サブコン
ノーマルECUに追加で取り付けるコンピュータ。
サブコンピュータの略かな?
車の基本的制御はノーマルECUでするけど、燃調などはサブコンで制御する感じ。
そこそこ安く手に入る感じ。
最近はPCなどにつないで自分でいじれるのもあるみたい。
★フルコン
ノーマルと完全に別のコンピュータ。
エンジン制御を丸々別のコンピュータで行う。
フルコンの機能にもよるけど、
エンジンコントロールのための多くの項目を設定することができ、
タービンを換えたり、インジェクターを換えたり、
エンジンを大きくいじってもセッティングできる。
一般的な製品ではAPEXiのPower FCや、HKS F-CON V Proが有名かな。
で今回取り付けたのはPower FC。
これは手軽に使えるフルコンだと思う。
最初から普通に乗れるセッティングデータが入ってるので、
買ってきて、ノーマルECUと差し替えるだけでOK。
さらに付属のFCコマンダーってやつで、自分でセッティングすることもできる。
ボルトオンでフルコンに交換可能。
困った時はすぐに元に戻せる。
下取りもいらない。
それに実売で8〜10万円で買えるのでフルコンとしてはコストパフォーマンスは高いと思う。
ある意味サブコンより安いかも。
他のフルコンだと、本体+ハーネス+セッティング代で20万は余裕で超えちゃう...
でそんなPOWER FCだけど、
いつか欲しいなって思ってたら、
いつのまにかER34用が生産中止になってた...
でも運よくオークションで手に入れることができた。
よかったよかった。
ER34にパワーFCの取り付け
POWER FCは車種ごとに専用品なので、
コネクタも純正のものと同じ形状。
なので取り付けは、純正ECUを外して、
POWER FCを取り付けて終わり。
超簡単。
まずはノーマルECUのある助手席足元のカバーを外す。
ハーネス(配線)を外す。
ノーマルを外し、POWER FCをとりつけハーネスを取り付ける。
交換完了。
と、その前に中古品なので、安全のために前の人のセッティングを完全リセットする。
で、エンジンを掛けてみる。
「キュキュキュブオン」
と普通にかかった。ノーマルとは微妙に違うけどあっけなくかかった。
まぁかからなかったら怖いけど。
で説明書にあるとおり、アイドリング学習をさせる。
ある程度学習させると完了。
常にアイドリング学習はしてるっぽいからそこまで神経質にならなくてもいいっぽい。
パワーFCの機能
パワーFCにはFCコマンダーってやつがついてて、
ユーザがある程度セッティングをいじれるようになってる。
あまりデザインは良くないし、液晶も見にくいけど、
自由にいじれたり、色々モニタリングできるのはGood!
パワーFCの機能としては、
・リミッターカット
・燃調いじり
・点火時期いじり
・アイドリング回転数いじり
・アクセルオフ時の燃料カット回転数いじり
・エアフロ設定
・インジェクター設定
・加速時ガソリン増量の設定
・水温補正の設定
・レブリミット設定
・いろいろモニタリング
・etc
といろいろ操れる。
まぁ自分でセッティングできる環境がないと、
そんなにいじらないだろうし、
変にいじるとエンジンを壊しちゃうから、
それだけいじることができるってだけでも満足かも。
FCコマンダーでの最初のメニュー↓
モニタリングとセッティングとその他が選べる。
モニタリングはその名のとおり、いろいろな情報を表示するモード。
セッティングはその名のとおり、いろいろセッティングするモード。
その他はその名のとおり、その他。
とりあえずモニタリング。
モニタリングのモードは、1,2,4,8チャンネルの表示と、
マップ表示の5種類がある。
1チャンネル表示(点火タイミング)と、2チャンネル表示(ノッキングレベルと点火タイミング)
4チャンネル表示(エアフロ電圧とエンジン回転数を追加)と、8チャンネル表示(色々追加)
ついでにグラフ表示することもできる。
↓は8チャンネルのグラフ表示。
8こも同時に表示されるのでどれがどの値かよくわからない。
実用的なグラフ表示は1,2チャンネルくらいだな。
表示する内容の選択画面↓
これは8チャンネルのときの選択画面。
パワーFC用ブーストコントローラをつければ、ブースト値も表示できる。
んで↓がマップトレース表示
ECUが現在どの位置の値を読んでるかがわかる。
↑これはアイドリング中の位置。
↑はマップを読んだ位置を黒く残す軌跡表示。
横軸が右向きにエンジン回転数(左端が400回転〜右端8000回転)で、
表示的には400回転ずつになっている。
縦軸が下向きに負荷(おそらくエアフロ電圧で判断かな)を表してる。
なのでエンジン回転も負荷も低いアイドリング中は左上の方を読む。
逆にエンジン全開加速中は、下の方を読み、回転の上昇とともに右のほうを読んでいく。
上のやつは5600rpmまで全開し、アクセルオフ。
んで街乗りした感じのマップ。
ついでに全開してレブリミット近くまで加速して、アクセルオフした軌跡↓
↓は全開したり全閉したり普通に乗ったりといろいろしたあとの軌跡。
レビュー
取り付けして、とりあえず乗ってみる。
うん。
なんとなく違う感じがする。
よくわからないけど、多少パワーアップしたような気はするけど、
たぶん体感できるほどパワーアップはしてないと思う。
これは予想通り。
でも街乗りでのフィーリングが変わった。
不満だった、エンジンブレーキのときのフィーリングが一番違う。
ノーマルでは低速時のエンブレ状態とアクセルを軽く踏んだ時の切り替わりが唐突過ぎて、
コントロールしにくかった。
どんな意識しても、なんかギクシャクする部分があった。
でもパワーFCのコントロールになって、それが消えた。
R33からR34に乗り換えてすごく嫌だなって思ってた部分だったので、それだけでも満足。
あとはおまけ的だけど、それにエンジンブレーキ時に完全に燃料カットされるようになってた。
ノーマルだと、エンジンブレーキ時にも1〜3%の燃料をなぜか噴射してた。
これが完全に0%になった。
これに意味があるかわからないけど、気持ち的にすっきりした。
あと何でも知っておきたい性分の自分にとっては、
エンジンに関する情報がいろいろ表示できるようになって満足。
そして困ったとき?は、自分でエンジン制御をある程度いじれるってのも最高。
さらに運転が楽しくなった。
このパワーFCが本領発揮するのは、
その車に合ったセッティングをするとき。
これは、腕のいいセッティングのプロに頼むしかないだろうな。
腕のいい人を探すのが一番難しいかも...
でもいい感じでいまのところ満足。
パワーFCをいじる
自分で自由にいじることができるECUになったので、
エンジンを壊さない程度にいじってみたくなるもの。
でもセッティングをいじるのは、色々な知識がないとやめたほうがいいと思う。
燃料噴射量を増減するとどうなるか、
点火時期とはどんなもので、いじるとどうなるかとか、いろいろな知識がいると思う。
パワーFCを手に入れてからそういうところを色々調べてみた。
その上で自己責任でいじるなら、お勧めだと思う。
吸気系、排気系を交換したりしたときに、
それに合ったセッティングにし、その効果を引き出せるのがリセッティングのメリット。
とは言っても、A/F計(エンジンに入る空気と燃料の比率を見るメータ)がないと、
ちゃんとしたセッティングはできないから、
ここでは、FCコマンダーで何をセッティングできるかを紹介
セッティングメニュー。
これだけの項目をFCコマンダーでいじれる。
ワクワクするべ。
↓は点火時期マップと燃料補正マップのセッティング。それぞれ20×20のマップになってる。
点火時期はそのまま角度で入力。燃料補正は理論空燃比を100%で表してる感じになってる。
100より増やしていけば、濃くなるし、下げれば薄くなる。
↓はエアフローメータ(吸気量測るセンサ)を交換したときに設定を変える感じ。
↓はガソリンを噴射するインジェクターの設定。6気筒あるので6本のそれぞれ独立に設定できるっぽい。
なかなか高機能だな。
↓は加速増量補正の設定。
アクセルを急に踏み込んだときに多めにガソリン噴射するときの設定。レスポンスに影響するらしい。
↓は燃料、点火時期のテスト用の設定。
ここでいじるとマップ全体を一気に変えられる。エンジンを切れば元通りになる。
セッティングのテスト用かな。
↓はエンジンを掛けるときの水温別のクランキング中の燃料噴射時間の設定。
↓は水温補正の設定。
左が低負荷時で、右が高負荷時。水温が冷えてると燃料を多めに噴射しちゃう。
ローテンプサーモとか入れて冷えすぎの状態だと、燃費悪くなりますよ〜
↓エンジンの回転数設定。
Rev.Limitはそのまんまレブリミット、
F/Cはアクセルオフ時の燃料カットをどの回転数までするかの設定。
IDLEはそのまんまアイドリング中の回転数設定。
あとはその他メニュー
センサやスイッチのチェック用表示と、ワーニング設定など。
というわけで、自分でセッティングできる環境があるなら、かなりお勧めな感じ。
ただ、ER34用はすでに生産終了してるみたいだから、なかなか手に入れるのは難しそう。
車の部品は欲しくなった時が買い時です!
自分でもっと安全にいじるためには、A/F計がほしくなるし、
PCと接続できるようにもしたくなる(FCコマンダーだと大変だし、PCからだといじれる項目も増える)けど、
そこまでやると、ちょっとお金かかりすぎる...
まぁ遠い将来の話だな。
作業日:2007/11/17
走行距離:84756km
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